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象の背中 / 秋元康





男が最期にできること。
自分があと半年しか生きられないと分かったとき、男は何をするべきなのだろう?
自分が愛する人たちのために何をしてあげられるだろうか?
死の恐怖に直面して、その恐怖にどう立ち向かえばいいだろうか。
この問いには、おそらく正解はないんだろうけど、一つの可能性として、提案として示してくれている小説です。
男の人が、男の視線で提案しています。
そういう意味では男クサイ作品なんですが、「家族」というテーマも含まれていて、それが全体をクサく感じさせない感じです。
とはいえ、オレの印象としては、「男なら読んどけ!」っていう小説だと思います。

象の背中
著者:秋元康(あきもと やすし)


ストーリー
肺ガンで、余命半年という宣告を受けた48歳のサラリーマン。彼は延命治療をせず、自分の人生に関わった人々に会いに行くことにする。
思いを伝えられなかった初恋の人や、若き日にケンカ別れした旧友をはじめ、過去の忘れがたい人々を訪ねてゆく。


物語は、余命半年のサラリーマンの視点から語られます。
死を宣告されてから死に行くまで、主人公の「男」としての視点で描かれます。
過去の人のこと、家族のこと、愛人のこと。
愛人に関しては、嫌悪感を描く人も多いと思います。
実際オレもそうでしたし。
というか、出てくる人たちが余りに良い人過ぎます。
悪意のある人間が一人も登場しません。
そういう意味で、現実的とは到底言い難いと思います。
とは言え、「死ぬ」ということについて考えさせられる作品ではあります。
死を目前にして、人としてするべきことって何だろう?
男としてするべきことは何だろう。
死ぬこととどう向かい合えばいいのだろう。
もちろん、秋元康さんが出した答えが正解とはいえませんけどね。
そもそも正解なんてないのでしょう。
延命治療を拒むことは、男として潔い行為なのかもしれませんが、自分のことをすごく愛してくれる人がいるのならば、その人のために少しでも長く生きるというのも正解だと思います。
「象の背中」の中には、そういった議論するべきこと、考えるべきことがたくさん提案されています。
主人公の生き方を通して、自分はどうしたいのか、自分ならどうするべきか、本当にいろいろなことを考えさせられました。
ストーリーとしては「出来すぎ」感がありますが、考えさせられる部分がたくさんありました。
ちなみに、映画化もされています。
映画のほうは、家族の方をメインのテーマにしてるようです。
家族愛という意味ですごく感動しますが、男の選択としての問題提起は弱いです。
設定や状況に現実味がない分、感動を軸においてしまうと、物語の軽さばっかりが目立ってしまう気がしました。
どちらを好むかは、人の好みですけどね。
オレは映画の方はいまいち。
それでも、親子の関係なんかを見てるとしっかり感動しちゃいましたね。
親子ものに弱いかもです。
キャストに関しては、役所広司さんがいいのは当たり前ですが、今井美樹さんもなかなかいい感じでした。
なんか、素朴で優しい妻の役がぴったりでした。
ただし、ちょっと若すぎる感じもします。
あと、大学生の息子の役をやっている塩谷瞬さんがイケメン過ぎです。

監督:井坂 聡(いさか さとし)
キャスト:
役所 広司(やくしょ こうじ)
今井 美樹(いまい みき)
塩谷 瞬(しおや しゅん)
南沢 奈央(みなみさわ なお)
井川 遥(いがわ はる)
手塚 理美(てづか さとみ)
高橋 克実(たかはし かつみ)
伊武 雅刀(いぶ まさとう)
岸部 一徳(きしべ いっとく)
久遠 さやか(くおん さやか)

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